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土木施工管理の仕事がきつい・楽?つらいこととは?30年の経験から紹介

建築

私は大手道路舗装系建設会社で30数年間を土木系施工管理の職種を経験してきました。
1級土木施工管理技士の資格を取得し、日本全国各地で道路工事に従事してきました。

そして、現在は管理職として長らく務めた会社で部長職となり、業績管理を主に勤めながら新人採用から若手社員の育成などの職務にも取り組んでいます。

施工管理の仕事を自分自身も経験してきましたし、昨今の施工管理を志してくれた若手社員と接することも多く、この業界のリアルな実態を日々経験しています。

施工管理の仕事のきつい部分と楽な部分。
日頃会社では話すことのできない本音も踏まえてお伝えします。

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施工管理の仕事がきついと思うところ

まずは施工管理の仕事がきついと思うところについて紹介していきたいと思います。

体力的にはそれなりにきつい

施工管理の仕事は多岐にわたりますが、主な職場は工事現場になります。
炎天下の日も、寒い日も工事現場は動きます。
1日中、外で仕事をするのはやはりそれなりに体力を使います。

原則的に、重いものを持ったりスコップで穴を掘ったりのような肉体労働は施工管理の仕事ではないのですが、身体を使うことがゼロにはなりません。
1日1万歩以上、歩くことはザラです。

ヘルメットをかぶり安全靴を履いて工事現場で過ごす1日は、慣れるまでは肉体的な負担はあるでしょう。

責任の重さがきついときもある

施工管理の仕事はそれなりに奥が深いところがあって、たくさんの仕様書(規定集・ルールブックのようなもの)に沿って工事を進める必要があります。

規格に満たないことがあると発注者に受け取ってもらえないということになります。
少し直す程度で大丈夫な場合は、まあOKですが、まれに最初からやり直しを命じられるケースもあり得ます。
その場合は、作り上げたものを壊すところから始める必要があり、おおよそ工事価格の3倍の費用が掛かるといわれます。

もちろん会社全体の責任であって施工管理担当者一人だけの責任ではないのですが、直接実務を担当する人間として結構な重責を担っているといえるでしょう。

どんな会社でも各担当者の力量を図って仕事を割り当てるので、実力以上のものをあてがわれることはありません。
したがって必要以上にビビることはありませんが、そういったつらい部分があることは理解しておいたほうが良いでしょう。

発注者と下請けのはざまでつらい時もある

工事現場で働く人もやはり人間です。
楽をしたい方向に流れることもあります。
工事の形態として、施工管理をする人が元請業者で実際工事をする作業者は下請け業者になることが一般的です。

下請け業者に発注して工事をする場合、施工管理者は元請として下請け業者の作業内容を管理する必要があります。
数として施工管理は1名で下請けの作業車は10人というケースが一般的な構成比率でしょう。
誤解が多いかもしれませんが、工事現場の作業者の方々はおしなべて紳士ぞろいです。

今の時代には、荒くれ者たちがやる仕事ではありません。
普通に仕事をする場合は、施工管理者は元請の現場監督さんであり、それなりのリスペクトをもって接してもらえます。

しかし、ごくまれに意見の対立が生じることがあります。
楽な方向に流れたい下請の作業者の皆さんと立場を異にする元請の施工管理者といった図式になることがあります。

この場合、施工管理者はがんばって自分の意見を通す必要があるのです。
どんな仕事もそんなものかもしれませんが、自分の責任を果たすために主張を通す必要はあるのです。

併せてこちらのチェックしてもらうと良いと思います。
関連ページ:
土木施工管理の仕事はやめとけばよかったと思うこと|30年の経験から紹介

施工管理の仕事が楽だと思うところ

では施工管理の仕事が楽だと思うところを紹介していきたいと思います。

実は肉体労働ではないところ

工事現場での仕事をしている姿を見ると、大変そうに見えることでしょう。
現在の工事現場では機械化が進み人間の手がかかる作業はどんどん少なくなってきた印象です。
それでもすべてを機械が施工できるわけではないため、人間の手作業は必ず必要になります。
そういった人間の手作業はやはり肉体労働の一環であり、それなりの負荷はかかります。

しかし、施工管理の仕事はそれではありません。
作業車の方にそういった仕事を指揮することも下請けの職長さんの仕事であって、施工管理者の本来の仕事ではないのです。
建設業法では、作業を指揮することと実際に作業することは下請け業者の仕事と明確に規定しています。

私個人の意見になりますが、工事現場で最もしんどい仕事はこの部分ではないかと思います。
下請け業者がこの作業をやってくれることを近くで見ているだけでよいという立場が、私としてはけっこう楽をさせてもらってきたなと思っています。

結構自由な時間を取れることがある

施工管理の仕事の主な職場は工事現場になるのですが、デスクワークも結構あります。
原価管理や工程表の作成や、発注者に示すための資料作りなど多岐にわたります。

場合によっては、現場が稼働中に事務所のデスクに座って仕事をすることも結構な割合であります。

デスクワークが楽だというわけではないのですが、現場がしんどい時にデスクワークをしたり、逆にデスクワークで頭の中が煮詰まったら現場を歩いてみたりなどの時間の使い方ができたりします。
それだけで気分転換になるものです。

また、施工管理者の役割として、役所などに提出物を届ける仕事や会社への報告などで現場を離れる時間も意外にあるものです。
わりとみんなこの時間を使って、現場の外で息抜きをしているようです。
スーパーマーケットの駐車場やパーキングエリアで車の中で昼寝をしている作業服姿の人を見かけたりしませんか?

施工管理の仕事をしてよかったと思うところ

次は施工管理の仕事をしてよかったと思うところを紹介していきたいと思います。

達成感がある

建設業は地図に残る仕事です。

30数年の経験のなかで多くの地図に残るものを作ってきました。
専門が道路工事だということもありますが、わかり安く地図に残っています。
少し前には、私の従事した道路がカーナビに反映されていないことがあり、「われわれはカーナビの上をいっている」としょうもない自慢をしながら運転したりしたものです。

施工管理者あるあるでしたが、そんなことも誇りに思えたものです。
ささやかな喜びでかもしれませんが、工事完成時の達成感・充実感はどの工事においてもかけがえのないものでした。

給与が高い

私が就職したころはバブル景気と呼ばれる時代でした。
世の中にはもっと簡単にお金を稼げる仕事もあったようで、施工管理の仕事は当時から不人気だったと思います。
大学で土木工学を専攻したこともあったのですが、高い賃金に魅力を感じたのは間違いないところです。

当時いろいろ世の中にあった怪しげな仕事には最初から興味はなかったのですが、スーツを着て満員電車に乗って都心のオフィスに通勤する仕事へのあこがれもあったのですが、それに負けない賃金がありました。
その後、景気は何度も変化がありましたが、この業界は不景気に強いのです。
賃金は右肩上がりにあがっており、現在もまずまずの生活水準を得られていると満足しています。

そして昨今の人手不足の状況は大変なことになっています。
どこの会社でも施工管理技士が不足しており、仕事の量と施工管理技士の数のバランスが崩壊している状況が日本全国各地で起きています。
インターネット上の転職採用の相場をみると、驚くような金額が並んでいます。

将来的にもこの傾向は続くことでしょう。
施工管理の仕事には、AIが取って代わることが限られること、決して人気の職種にはならないであろうことがその理由です。

施工管理の仕事をやめておいたほうがいい人

近年の深刻な人手不足の状況で、わが社でも採用基準はずいぶん変化が生じています。

私自身、採用面接にかかわることが多いのですが、挨拶ができる人であれば合格させています。
もちろん試用期間を設けたうえでとなるのですが、あまり選んでいられない事情があります。

そうした中でも、当初の想像以上に職場や仕事内容に適応して活躍してくれる人もいる半面、残念ながら早々に退職してしまう人もいます。
そうした人たちを見てきた経験から施工管理の仕事をやめておいたほうがいい人の特徴を書いてみます。

プライドがムダに高い人

自己肯定感を高く保つこと、自分の仕事に誇りを持つことはとても重要です。

しかし、それとムダなプライドは別のものだと思います。
工事現場での仕事を見くだす態度をとり、肉体労働を価値が低いものだと行動からにじむ人が入ってきたことがあります。
工事現場での仕事はチームプレーですが、その方はチームの一員になることを拒んでいたように見えました。

貴方たちと違うというプライドが透けていて、下請けの作業者から受け入れられることがありませんでした。
そういった行動や考え方では1日がとても長かったのではないかと思います。
退職するまで1か月持ちませんでした。
現場で長く働いてきた下請けの作業者の方から学ぶことは実はとても多いもの。
そういった機会を自ら放棄する人は施工管理の仕事をやめておいたほうが良いでしょう。

責任逃れをしてしまう人

世の中のどんな仕事にも当てはまることでしょうが、自身の責任を回避してしまう人は施工管理への適正がありません。
工事現場は基本的にチームプレーですが、施工管理の仕事は複数名で一つのことを管理するよりも一人一人の持ち場をはっきり区分して行うことが一般的です。

自身の能力以上の責任を与えられることはありませんが、各々が自身の責任を回避してしまうことがあればその箇所が破綻してしまいます。
それによって次の工程に進むことができず、工事が円滑に進みません。
一人一人が自身の役割を果たすことによって、チームプレーが成立するのです。

施工管理の仕事はこういった人におすすめ

次は施工管理の仕事はこういった人におすすめという人を紹介したいと思います。

安定を求める人

先にも書きましたが、施工管理の仕事はAIにとってかわられることが限られています。
どんな技術革新が起こったとしても、施工管理の仕事をAIがすべてとってかわることは絶対にないでしょう。

建設業は経験工学といわれます。
体力や柔軟な発想力も素晴らしいことですが、施工管理の仕事においてはほかの作業と比較して経験の持つ意味合いが大きく違います。
同じ現場はひとつとしてないこと、以前の類似工事から適した答えを判断するスキルが必要なことなど、これから日々経験することは10年先、20年先に成果として発揮されるのです。

今現在の経験を将来にわたって活かしていくことができ、長く活躍できる仕事が施工管理です。

モノ作りを楽しめる人

私が初めて道路舗装の現場を経験したときに、アスファルト材料を舗装機械が敷きならしていく様子を見て単純にすごい技術だなと感心したことを今でも覚えています。

私たちの暮らしを取り巻くものが、いろいろな技術で作り上げられていることに感動を覚えました。
そして、こういったモノづくりの一員になれるよう頑張りたいと思ったものでした。

工事現場でどんどん風景が変わっていく様を見るのはシンプルに楽しいものです。
自分が携わっている工事現場だとその感慨はひとしおです。
私の感性はもはや古いものだと思っていましたが、直近で入社してきた社員も同様な感想を述べてくれてとてもうれしく感じました。

モノづくりを通して得られる達成感は・充実感はなかなかいいものです。
このプロセスを楽しむことができる人にとって、施工管理の仕事はおすすめです。

併せてこちらのチェックしてもらうと良いと思います。
関連ページ:
土木施工管理の仕事に向いている人・向いてない人|30年の経験から紹介

まとめ

日本経済において楽をしてお金を稼ぐことはないと思います。
私も弱い人間なので、楽をして稼げる商材などに手を出して痛い目にあったこともあります。
どこでどんな仕事をしてもきついことから逃げていてはお金を十分にもらうことはできないでしょう。

世の中に数ある仕事の中でも、施工管理の仕事は楽なほうではないと思います。
どちらかといえば、きついほうに分類されるでしょう。

1.仕事を通して社会に貢献できること。
2.労働に見合った賃金が得られる。
3.達成感・充実感を得られること。
4.将来にわたって安定的に仕事が確保できること。

仕事を選ぶ基準は人それぞれですが、施工管理の仕事にはきつさに見合った魅力があるのも間違いないところです。
昨今の人手不足の状況もあり、施工管理の仕事の門戸はこれまで以上に広く開いています。
興味がある方はぜひ施工管理を志してください。

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