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土木施工管理の仕事はやめとけばよかったと思うこと|30年の経験から紹介

建築

バブル景気と呼ばれた時代の真っただ中に大手建設会社に入社し、土木系施工管理技士としては30数年間従事してきました。
主に道路工事に従事し、北海道から鹿児島まで全国各地で施工管理として工事現場を渡り歩きました。

振り返ってみると、楽しかった思い出も数多くありますが、ただただつらかっただけの記憶もたくさんあります。

大学の先輩に、「民間建設会社はやめておいたほうがいいんじゃないのか」というアドバイスをもらったのですが、何となく周囲の流れに逆らうことなく深く考えずに就職しました。
どんな仕事もそうかもしれませんが、きついことは多くやめておけばよかったと思ったことは数知れません。

今のように働き方改革なんて言うものもなかった時代です。
労働条件は決して良くありませんでした。

30数年を経過した現在は管理職となり、新人の採用から若手社員の育成の役割も担う立場になりました。
時代は変わり社員の気質や考え方は間違いなく変化していますが、今の若者たちも私と同じような経験をして同じような気持ちの変化を感じています。

これから施工管理を目指してみようと思う方に向けて、実体験を通して施工管理の仕事における大変なほうの情報をお伝えします。

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施工管理の仕事はやめとけといわれる理由

大学4年時の就職活動の際に会社説明会が開催されました。
そこに参加された卒業生である先輩が「ゼネコン(民間建設会社)はやめておけ」とアドバイスをくれました。
その先輩は公務員試験とゼネコンで天秤をかけて最終的に大手ゼネコンに就職した3学年上の先輩でした。

あまりにもきっぱりと「やめておけ」と言われたので、当時の私は少々あまのじゃくな感想を持ってしまい「それなら民間建設会社に進んでみようかな」と思ったのです。

大学内で志望企業選択に競争があったこともあり、先輩の意見で多くが公務員試験に流れるだろうとよんで、自分優位に民間建設会社を選択できるんじゃないのかと思ったのも理由の一つでした。
そして30数年が経過しました。
あの時先輩が、「やめておけ」と言われた理由が今ではよくわかります。

実際に働いてみて施工管理の仕事を辞めておけばよかったと思うこと

責任の大きさがつらい。

若手のうちは先輩社員の補佐をしながら経験を積み知識を増やしていくことが重要な役割です。
そして、経験を積んでくると現場代理人や監理技術者としての役割を与えられるようになります。
土木施工管理技士の資格を取得する必要があり、このレベルに到達してようやく一人前といったところになります。
大学卒業で5年、未経験であれば10年が目安といったところです。
会社としては早くこの段階に成長してほしいと思っています。

現場代理人や監理技術者になると給与も上がりますが、責任も一気に大きくなっていきます。
工事の責任が施工管理者にかかってきます。
着手前の準備がうまくいかないと工事は進んでいきません。
発注者の要望を現場に反映させないといけません。
工事現場の沿線には住民もおられ苦情も入ったりします。
その他もろもろのトラブルが起きることもあります。

そういったことを先頭に立って処理していくことが施工管理の仕事の大きな要素になっていきます。
この責任がつらく、眠れない夜を過ごしたこともあります。
この苦労は時代が変わっても減っていることはありません。

下請けの管理がつらい

一般的な関係性で元請けに所属する施工管理担当者と下請け業者として工事を実際に施工する業者といった関係で工事体制が組まれます。
問題なく工事が進捗する場合には円滑な関係性があり、元請けの施工管理者は監督員として下請け業者の作業者たちからある程度のリスペクトをもって接してもらえるものです。

しかし、何らかのトラブルが生じることも時折あります。
施工管理者と実施工者が立場を異にする場合があると、対立関係になってしまいます。
こういった場合、施工管理者は自身の責任を果たすために主張を曲げるわけにはいきません。
ムリを通す必要が生じることもあります。
下請け業者の作業者の方々との関係性が悪化することは結構つらい経験でした。

現在でも若手社員はここで苦労することも多く見受けます。
しかし、優秀な施工管理者として成長するために、ここを避けて通ることはできません。

発注者との関係性がつらい

いまではだいぶん変わってきましたが、発注者によるパワハラがまかり通っていた時代がありました。
発注者が絶対的な存在である工事というものがありました。
理不尽な要求を繰り返され、精神を病んだ施工管理の仲間もいました。
パワハラの発注者はいたるところにいて、各地で有名な存在だったりしたものです。
「〇〇建設が、〇〇の担当現場に当たってしまった」と同業者内で噂しあったりもしたものです。
どうやらそういったパワハラ系の監督員は各発注者内ではそれなりの評価を得ていたようで、どんどん出世したりしていた方が多いように思います。
そうした影響もあって、自信をもってパワハラ的業務を繰り返していたようでした。

最近では発注者側もコンプライアンスの意識が浸透し、ほとんどそういった事例は聞こえてこなくなりました。
施工管理の仕事の大変な要素が一つ減ったかなと思います。
しかし、今思い出しても許せないと感じる発注者は結構いたものでした。

身体的につらいこともある

工事現場での仕事は炎天下でも寒い日でも行われます。
実際の肉体労働は施工管理の仕事ではありませんが、それでも身体を使うことがゼロになるわけではありません。
ヘルメットをかぶって安全靴を履いて一日工事現場にいるとそれだけでエネルギーを使います。
一日に一万歩以上を歩くこともザラにあります。
工事の佳境をむかえたりすれば、ひどく疲れる日もあったりします。

北海道で氷点下20度の状況で一日を過ごしたこともあります。
40℃近い気温で一日を過ごしたこともあります。
どちらも大変ではありましたが、どうにかなったものです。
そんな現場条件でもみんなが頑張っているのでどうにか耐えられたのかもしれません。
最近では、いろいろな防寒具や暑熱道具も開発されて働きやすくなってきましたが、それでも自然相手の仕事の厳しさは変わっていないと思います。

あまりかっこよい仕事には見られない

工事現場での仕事に偏見がある人が少なからずいるのは事実です。
いわゆるソーシャルワーカーに分類されるのかもしれませんが、工事現場で働くわれわれを下に見るような言動をとられた経験が何度かありました。
工事中に苦情が入ることがある際にそういったことがありました。

自分の仕事に誇りを持つことができれば全く気にならないでしょうが、気になってしまう人もいるかもしれません。
ヘルメットをかぶって髪型が乱れてしまったり、作業服姿になることに抵抗がある人もいるかもしれません。
きれいなスーツを着こなしてオフィス勤めをする仕事ではないため、作業服姿での仕事になりますが、そこに抵抗を感じる人もいるかもしれません。

こういった人は施工管理の仕事はやめておいたほうが良いかもしれない

責任逃れをする人

責任を背負うことはどんなものであっても大変です。
学校生活や家庭の中でも小さな責任をこなしていきながら成長していくものだと思います。
仕事においても同じこと。
社会人として小さな責任を一つずつクリアして成長していくことが望まれます。

施工管理者にはいろいろな役割があり、それぞれに責任がついてきます。
一つ一つの責任を果たしていくことで工事が円滑に進んでいきます。
どれか一つの責任を避けてしまうと次の工程に進むことができなくなったりします。
責任を回避する癖のついている人はいるものです。
どんな仕事にも共通することですが、逃げ癖のある人は組織において時にマイナスの存在になってしまいます。
そういった人に責任ある立場を任せることはできません。
人間なのでミスをすることはあります。
ミスをしても挽回する機会はあるし、上席の立場の人がカバーしてくれることも可能です。

しかし、責任から逃避してしまう人がいればどうすることもできなくなってしまいます。
責任逃れをする人は施工管理の仕事にはむいていません。

極端にコミュニケーションをとることが不得手な人

コミュニケーションをとることが不得手な人も比較的多く入ってきます。
施工管理の仕事はチームプレーでありそこのリーダー的役割を担う立場であるため、コミュニケーション能力に長けていることに越したことはありません。
しかし、営業マンでもなければ芸人さんでもないわけで一般的なコミュニケーション力があれば問題ありません。
少々、コミュニケーションをとることが不得手なくらいでも構わないと思います。

しかし、チームプレーを進めていくうえで支障があるくらいにコミュニケーション能力に問題がある場合は残念ながら適性がないといえるでしょう。

仕事を覚える姿勢がない人

せっかくのご縁で入社したにもかかわらず早々に退職していった人にこのタイプが多くいました。
専門の学校を卒業してきても、現場で使える知識というものはほとんどありません。
最近では全くの未経験で入社してくる人も多くいます。
仕事を覚えないことには始まりません。
それなのにどうも仕事を覚える姿勢が見えない方がいるものです。

先輩社員が指導しても返事だけであったり、そもそも覚える気がないような言動を繰り返したり。
ただ一日を過ごして給料をもらって帰ろうという意識が見えています。
こういった方が工事現場で認められることはありませんし、周囲に良い影響を与えるわけがありません。

新人とはいえ施工管理の仕事は工事現場のリーダーであることが役割です。
仕事を覚える姿勢がない人が職場でリーダーになれるわけがありません。
むしろ現場にとっていないほうがましな存在になってしまいます。
そういった人は、自身から退職することを選びます。

併せてこちらのチェックしてもらうと良いと思います。
関連ページ:
土木施工管理の仕事がきつい・楽?つらいこととは?30年の経験から紹介

施工管理の仕事をしてよかったこと

・地図に残る仕事で誇りを持てること
・労働に見合った賃金が得られること
・仕事を通じて得た経験が将来にわたって活かしていけること
・モノづくりの楽しさを経験できること
・達成感を得られること
・チームプレーを通して一体感を得られること
・社会に貢献している実感を得られたこと

など、探せばそれなりに良かったことはありました。

施工管理の仕事はこんな方におすすめ

・根性のある人
・鈍感力の高い人
・モノづくりに喜びを見いだせる人
・お金がたくさんほしい人
・長く安定的に仕事をしていきたい人
・仕事終わりにおいしいお酒を飲みたい人
・社会に貢献できている実感によろこびを得られる人

仕事がきついのは間違いありません。
しかし、耐えられないような内容では決してありません。
対価を得るための仕事としてあたりまえで適切な内容です。
日々きついことがある中にでも、ささやかな楽しみを見出していける人には施工管理の仕事をおすすめします。

併せてこちらのチェックしてもらうと良いと思います。
関連ページ:
土木施工管理の仕事に向いている人・向いてない人|30年の経験から紹介

まとめ

30数年間の施工管理理業務を通して会社を辞めたいと思ったことは一度や二度ではありませんでした。
どうにか思いとどまってこれまで仕事を続けてこられたのは、日々の仕事の中に楽しみを見出すことができたのも大きな理由です。
日々の仕事を通して、いろいろなことに対しての耐性がついていったこともあります。
シンプルに日々の仕事や慣れて、きつさを感じなくなったということもありそうです。
結婚し子供が生まれ家族のためにと頑張ってこられたことも大きな理由でした。

これは施工管理の仕事だけに言えることではないでしょう。
どこでどんな仕事をしても同じこと。
つらいことを乗り越えてこそ、喜びがあって十分な報酬が得られるものなのではないかと思います。

施工管理の仕事を経験していく上ではつらいことがたくさん起こりますが、日々小さな喜びがそれ以上にあることも事実です。
それを感じることができなければ、私はこれまで長きにわたって施工管理の仕事を続けることはできませんでした。

日々の仕事に喜びを見出すことができず、楽な方向になれることしかできない人には施工管理の仕事はすすめません。
そんな人にとっては施工管理の仕事はやめておけばよい仕事でしかありません。

私の場合は大手の民間建設会社に所属して全国規模で仕事をしてきたのですが、地方都市の民間建設会社も施工管理の仕事内容はほぼ変わりません。
これから施工管理の仕事を考える人に参考になれば幸いです。

 

 

 

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