旅行をする際、出張に出掛ける際に、宿泊するホテルを重要視されている方も多いかと思います。コロナの影響もあり『リフレッシュ』を目的に近隣のホテルへ一泊宿泊するという方も増えました。
普通に宿泊すると、会う機会の少ないホテルの支配人の仕事は実際のところきついのか?
宿泊業界で17年正社員として在籍し、ビジネスホテルの支配人を経験した私が、『ホテルの支配人の仕事はきついのか?』をご紹介いたします。
ホテルの支配人の仕事はきついの?楽なの?
あくまで私の実際に働いてみた感想なのですが、本人の環境とスキルと次第できつい、も楽にもすることができます。
私にはきつかった。
というのが正直なところです。
支配人となり、オフの時間帯にホテルからの携帯着信が頻繁にありました。
携帯が鳴る理由は主に2つ、『質問』もしくは『クレームによる緊急対応』です。
支配人となれば、24時間体制で対応する。それが暗黙のルールでした。
正社員として入社した時から、常に誰かが働いている職場であり、オフの時間に確認事項等で電話がかかってくるということには慣れているつもりでした。
しかし、出産を経験し育児で寝不足の中、夜中の電話に対応しなければならない事は体力的に厳しく、赤ちゃんが着信で起きるのではという心配とクレームで駆け付けなければならないのではという心配で、夜間電話が鳴る度に緊張感が走りました。
寝不足と精神的なストレスが溜まっていき、つらいと感じることも多くありました。
ホテルの支配人の仕事内容
あまり表に出ることが無いと思われているホテルの支配人は、どのような仕事をしているのか。ご紹介いたします。
ホテルの規模によりますが、複数のセクションがあり、各セクションにスタッフが配置されています。
全従業員のマネジメント管理を行います。
私の在籍していたホテルでの人数の目安ですが、大体収容人数100名規模のホテルで従業員15名位、300人規模のホテルで従業員50名ほどのスタッフが働いています。
シフト上人が足りないセクションに入り、業務にあたることもあります。
チェックインを担当していたフロントマンは、実は支配人だった。ということも、小さい規模のホテルではよくある事です。
2 経費管理
営業に必要な固定費(人件費、消耗品、光熱費等)の管理です。
切り詰めすぎてサービスが低下をし、顧客満足度が下がらない程度に経費を削減する対策を行うという調整をしています。
3 ラックとイールドの管理
ラックレート(定価)とイールド(価格変動)の調整です。
繁忙期と閑散期といった、地域のマーケットを熟知し決めます。
価格は稼働率にも関わりますし、客層も異なってきます。
4 顧客対応
大口のエージェントとの契約やクレームの対応、現場のスタッフの対応力によって支配人が出るまでにはいかない案件もありますが、いつ自分の出番がくるかわからない為、内容は常に現場と連携しておく必要があります。
ホテルの支配人できつい・しんどいと思うところ
具体的にどのようなことがきついのか、私の所感でご紹介いたします。
誹謗中傷を受けることがある
クレームが起こり、最終的に表に出て何かしらの決着をつけるという立場柄、逆恨みを受けることもあります。
ネットがこんなにも普及しなかった頃には手紙やいたずら電話を受けることもありましたが、現在はSNS等で都合の良いところだけを切り取り投稿される可能性もあります。
他のお客様の安全の為の正しい判断であるという信念が必要です。
睡眠不足になりがちなところ
クレームやトラブルが起こるのは大体深夜です。
就寝中も、電話がいつ鳴っても応対できるようにと考えていると体が休まりません。
実際に睡眠不足が原因で通勤中に軽い事故を起こしたこともあります。
上層部は数字だけで評価する
来てくださったお客様がいかに満足し、喜んでたくさん良いレビューを獲得したとしても、稼働率が高い位置で安定しなければ評価されません。
ホテルの支配人をして良かったと思うところ
きついことが多いホテルの支配人の仕事ですが、実際にやってみて良かったのか?
今となって経験して良かったと思えることをご紹介いたします。
他業種でも役に立つスキルを身に着けられる。
接客や電話対応に自信が持てます。
様々なクレーマーの対応をした経験から、横柄な方やクレームにも動じずに対応することができます。
転職先でも上司の気持ちがわかる為、先回りしてフォローアップしたりすることができます。
業種にもよりますが、支配人を経験していたという経歴は、比較的好印象に思われる会社も多いようです。
何年経っても付き合いが続く友人ができる
たくさんのスタッフがチームワークで働く職場であり、スタッフ同士でコミュニケーションを取る場面も多いです。
支配人の立場になれば、シフトや雇用の相談等で個々と込み入った話をする事も多い為、上司と部下から戦友という間柄になり、どちらかが職場を離れても交友関係は続く特別な友人ができます。
性別・年齢層もバラバラで色々な発見や相談ができるかけがえのない存在です。
宿泊業界を熟知できる。
熟知することで、自分自身が旅行に行く際にはホテル選びが苦になりません。
同じホテルでも予約の取り方でお得に泊まれる方法を見つけだすコツのようなものがわかります。
ホテルの支配人になるのはやめておいた方がいい人
不特定多数の方が宿泊するホテルでは、いろいろなタイプの支配人がいても良いかと思います。
その中でも支配人なるのはやめておいた方がいい人をあげてみます。
人の気持ち(空気)が読めない人、共感ができない人
人の表情や雰囲気が感じ取れない、変化に気付くことのできないとスタッフからの信頼を得ることはできません。
接客をしたいと集まっている集団では浮いてしまう存在になるかと思います。
共感が出来なければ、相手の立場に立って物事を考えることはできません。
喧嘩っ早い人、おとなしすぎる人
喧嘩っ早い人、クレームを言われるお客様、横柄な態度のお客様に対してグッとこらえることが出来なければ、大喧嘩に発展します。
特に夜はお酒を飲んだお客様も多く危険が及ぶこともあります。逆におとなしすぎる人は、正しい事を案内してもお客様は不安な印象を受けます。
交渉しても納得していただくことが難しくなりがちです。
オンオフはきっちり分けたい人
自分がオフの時間でも必ず誰かが働いています。
オフの時間は完全に携帯の電源を切って一切対応しない。
理想的ではありますが、結果自分を苦しめることに繋がります。
オフの時間にかかってくる電話は大抵の場合緊急を要するヘルプコールであるからです。
この対応をすることで部下からの信頼を得ることが出来ます。逆に対応をしないと、名ばかりの支配人と全く協力してくれなくなり、社内の環境も悪化し、スタッフが協力してくれなければ、現場に出なければならなくなり、自分の業務を圧迫します。
ホテルの支配人はこういった人におすすめ
人の笑顔に幸せとやりがいを感じられる人
お客様・スタッフと必ず人と接する仕事です。
小さなことではありますが、人の笑顔にやりがいを感じられる人は、つらいと思うことも乗り越え、モチベーションを保つことができる為向いていると思います。
人とコミュニケーションをとるのが好きな人。
自分のスケジュールをきつくするのも楽にするのも、協力してくれるスタッフ次第で決まります。
コミュニケーションを取り、信頼を獲得しチームワークを作り良いリーダーとなれる人におすすめです。
分析力、発案力のある人
マーケット・価格・客層やお客様の様子を分析し、顧客満足度を上げるサービスを発案できるという人は高稼働率をキープできる人であり、向いているかと思います。
まとめ
私の経験談から、ホテルの支配人は、きつい仕事でした。
しかし、またやりたいですか?と聞かれたら答えは『YES』です。
経験したことにより得られることも多く、楽しいと感じることも多くありました。
大きな問題に直面し、その時は頭を抱え、悩み対応したことも、不思議と日にちが経てば必ず笑い話になりました。
人生できっと交わることのない色々な人と出会うことができるホテルの支配人の仕事は、きついけど楽しいお仕事だと思います。
これからホテルの支配人目指す方は、人との関わり方について、今一度意識いただくと良いかもしれません。
最近、誰かを笑顔にしましたか?最近、誰かにしてもらって嬉しいと感じたことはありますか?簡単なようで、意外と難しいく誰でもできることでは無いと気付けた方は、支配人に向いてい
コメント