わたしは精神保健福祉士として現場業務を担当しながら、福祉系の講師として介護初任者研修や介護実務者研修、介護支援専門員の試験対策等を行っています。
福祉職として自己研鑽を忘れずに、業界を盛り立てる一助になりたいと常々考えています。
このようなわたしが「精神保健福祉士の仕事はあるのか・ないのか」を検証してみました。
精神保健福祉士は仕事ないって本当?
精神保健福祉士の仕事は「実際にはあります!!」
なぜならば・・・
メンタル不調の人が増え続けている現在社会。
需要と供給のバランスはこのところ需要がずいぶん増えているようですが、その供給は追いついていないようです。
周囲の病院や事業所の人事担当者とお話ししていても、職員の新規募集を計画しているところが増えていると感じます。
では精神保健福祉士とはどのような仕事なのか、確認してみます…
どんな仕事をするのでしょうか
精神障がいをかかえる人の生活や目標を支える福祉の専門職として活動します。
こころの病はだれもが罹る可能性がありますが、高いストレスによってもリスクは生じます。
一方偏見や差別も根強く残っており十分な理解を得られているとはいいがたい状況でもあります。
そのような状況から障がいのある人も市民として自分らしく暮らせる社会をつくりだそうとする考えが広がってきました。
わたしたち精神保健福祉士は専門職として対象者だけでなく周囲の人にも働きかけながら社会復帰や地域生活への継続を支えています。
就職先
就職先として最も多いのは障害者福祉機関(全体の約25%)で働く精神保健福祉士ですが、さまざまな機関で活躍していますので一例をあげてみたいと思います。
医療機関(精神科病院や精神科診療所/クリニックなど)
こころの病を専門に診療する病院や診療所では外来での受診や入退院に関する相談を受けて生活等に関する支援を行います。
社会復帰や維持のためのリハビリを行うデイケアを行う医療機関もありそこでも精神保健福祉士が業務しています。
行政機関
市区町村役場の障がい者福祉の相談窓口では精神保健福祉士が相談や各種手続き、サービス利用に係る支援なども行っています。
他にも保健所や保健センター、精神保健福祉センターでは精神保健福祉士が地域課題への対応業務を担っています。
福祉施設・福祉サービス事業所
地域には精神障がい者に対してさまざまなサービスを提供する事業所があります。
*相談の窓口となる相談支援事業所
*通所や泊りに対応できる事業所
*就職の支援を行う事業所
などなど
これらの場所では利用の相談を受けて、助言や指導、訓練そのほかの支援を精神保健福祉士が行っています。
企業
過度なストレスを抱える社員に対して精神保健福祉士による相談援助や社員向けの研修など、働く人のこころの健康をまもるための取り組みを行っています。
他にも障害者雇用を行う企業では精神保健福祉士が就労定着のための相談や助言等を行っています。
学校
学校現場ではいじめや不登校、ヤングケアラー等さまざまな生活上の問題によりメンタル低下に陥るケースがあります。
そのような問題に対する相談援助者としてスクールソーシャルワーカーが活躍しています。
その中には精神保健福祉士や社会福祉士の資格を持つ人がいます。
司法施設
刑務所や裁判所等では精神障がいによって罪を犯してしまって人への対応や出所後の社会復帰に向けて精神保健福祉士が業務を行っています。
雇用形態
正社員で働く精神保健福祉士は全体の約8割です。
そのほかは契約社員やパートタイム職員等となりますので、常勤職員として活躍される人が多いようです。
転職市場の状況
精神保健福祉士の転職市場を実際にインターネットやハローワーク等で検索してみると実に多くの求人がヒットします。つまり活況といえます。
ただ精神保健福祉士の就労状況をみてみると離職率が低く、長く安定して働く人が多いようです。
経験が増すと、待遇面(収入面や福利厚生等)もますます安定していきますので中途採用よりも新規職員の割合が高いのも特徴といえるかもしれません。(10年以上の従事年数が全体の7割以上)
求人数や需要の動向
国は「障がい者が地域で暮らすシステムつくり」を今後も推進していきますので、専門職の需要が増える事と思います。
現時点では地域差はあるようで、都会では求人数が多くありますが、地方では地域差もあり、これから増えると予想されています。
引用:公益社団法人社会福祉振興・試験センター 「精神保健福祉士就労状況概況調査調査結果(速報版)」(令和3年7月)
精神保健福祉士の仕事がないという方へのアドバイス
精神保健福祉士として「仕事で困らない」ためにするべきこと
自己研鑽に励み新たな知識を得る努力を忘れないことが大切であると思います。
ちなみに精神保健福祉士の他に保有する資格は・・・
社会福祉士 60.9%
介護福祉士 17.4%
介護支援専門員 28%
公認心理士 3.4%
看護師 10%
となっています。
業務をかかえながらの学習は大変ですが取り組まれている方が多いようです。
自分の働く分野はもちろん、他分野についても研修等へ参加されることをお勧めいたします。大変ですがともに頑張りましょう。
自己分析やスキルアップ
精神保健福祉士にとって相談支援は最も必要なスキルといえます。
相談支援を実施するときに注意したいことは自分の性質や考え方の傾向を知ることです。
対象者の中には自分の価値観とは異なる人も出てくると思います。
年代や性差、生まれた場所や生い立ちなど違って当たり前の個別性ですが、相手を受け入れて理解しようとする場面で障壁となります。
この障壁を低くしてくれるのが、自己理解を深めることになります。自分が苦手な人、苦手な人に相対するときの反応などを事前に把握して、相談支援の場面で注意できる準備を行う事はとても大切です。
就活のコツ
精神保健福祉士として働く人は長く安定して働かれていることが多いようです。
また、知人の紹介による転職も多いので、横のつながりやネットワークを大切にする姿勢が必要です。
地域の研修会へ参加する事や、連絡会には嫌がらずに登録することなども必要です。
また、ハローワークでの求職活動だけではなく、紹介会社への登録や、エージェントを利用した就活をしておくとより高い条件での転職につながることがありますので、さまざまな媒体を利用して取り組まれるとよいかと思います。
これから精神保健福祉士の資格を取る予定の方へのアドバイス
精神保健福祉士の資格を取得したいと考えられる方はご存じの方も多いと思いますが、試験を受けるときには以下の受験資格(一例です)が必要になります。
〇福祉系大学で指定科目を履修(相談援助の実務)
〇一般養成施設等の卒業(6か月以上のコース・12か月以上のコース)と相談援助の経験則や一般大学等の履修
⇒ そのうえで国家試験を受験してパスしないと取得できません。
長い方であれば受験を志してから2年以上かかる人もいますので、じっくりと準備を行って、できれば1年目で合格を目指したいものです。
その為には必要な試験勉強を効率よく、寄り道せずに学習したほうが良いでしょう。
学習にはコツや必要な学習の範囲がありますので事前に精神保健福祉士試験の概要や学習方法を研究すると精度は上がり、試験にパスする可能性も上がります。
関連ページ
【精神保健福祉士に向いてる人・向いていない人】
まとめ
「精神保健福祉士は仕事ない」と考えている方へ
再び断言! 精神保健福祉士の仕事はあります!そして将来性も高いといえます。
なぜならば
高ストレス社会といわれる現代社会の中で、こころの病気を発症する人は増え続けています。
このような方々を地域社会へ再び送り出すことや、地域での生活を維持できるように支援する精神保健福祉士の需要は増えると予想されるからです。
もちろん収入面だけのことを言えば他にも考えられる職種はありますので優先しておすすめすることはできません。
でもしごとのやりがいや自分の成長、社会への貢献度などは大きな仕事選びの指針となり得るのではないでしょうか。
とても楽で楽しい現場ですよ…。とも言いたいのですが楽しいばかりではありませんし楽でないことも多いかもしれません。
それでもおすすめできるのは、こんなわたしでも続けられるやりがいを感じているからです。私たちと一緒に、精神保健福祉士の資格取得を目指してみませんか。
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