みなさんは臨床検査技師がどんな仕事をしているのかご存知でしょうか?
どこで何する職業なのかちゃんと知ってる人は意外と少ないと思います。
臨床検査技師は主に医療機関で様々な検査を専門的に担う職業です。
近年、チーム医療の発展や検査の機械化が進む中で活躍が期待されている職業でもあります。
私は臨床検査技師として9年間働いてきました。
その中で転職も経験し、色んな職場で働いてきました。
そこで今回は私自身が体験した事を元に、臨床検査技師はどんな仕事なのか、どこで何する仕事なのか紹介したいと思います。
臨床検査技師は何するの?どんな仕事?役割とは
臨床検査技師の役割は様々な検査を専門に行う事です。
医師が依頼した検査を臨床検査技師が行いそれらのデータをもとに治療や診断がなされます。
検査をただ機械的にこなすのではなく、得られた結果に対してこれは信頼性のある結果なのか、危篤な状態で緊急報告が必要な結果なのか、などの判断が必要なため幅広い知識と大きな責任が伴います。
また超音波検査など自らの手技の熟練次第で結果が変わってしまう検査もあるので日々努力しスキルを身につけなければなりません。
臨床検査技師の仕事内容
仕事は大きく分けて検体検査と生理機能検査に分かれます。
また最近では臨床検査技師も採血をしている施設が増えてきました。以下で詳しく紹介していきます。
検体検査
検体検査は患者から採取された血液、尿、糞便、喀痰、髄液などの検体と呼ばれる検査の材料を検査します。
検査内容は多岐に渡り基本的なもので言うと生化学検査、血液検査、一般検査、細菌検査、病理検査、輸血検査などです。
検査のほとんどは検体を自動分析器にかけて様々な項目を機械に検査してもらい得られたデータを確認してから結果として提出します。
他にも顕微鏡で検体を観察して異常な細胞が無いか調べたり、培地に検体を塗り細菌を培養させ体内の感染源となっている細菌を調べたり、輸血製剤と輸血される側の適合を調べたりと臨床検査技師は色んな種類の検査を駆使して治療や診断に貢献しています。
夜勤時や少人数の施設では1人で複数の検査を担当することもあるので幅広い知識が必要です。
生理機能検査
生理機能検査とは患者と対面して直接プローブや電極などを当てることにより身体の様々な機能調べる検査です。
こちらもたくさんの検査の種類があり、代表的なものは超音波検査、心電図検査、呼吸機能検査、脳波検査、神経伝導検査などです。
検体検査との違いは直接患者に検査を行うかどうかです。
専門的な知識ももちろん必要ですが検査のほとんどに手技の熟練が必要で国家試験を合格しただけではすぐに臨床では通用しません。
職員同士で練習したり先輩から見極めてもらったりしてから患者に対して検査する事がほとんどです。その分、やりがいや達成感がある検査です。
採血
近年、チーム医療の発展や臨床検査技師の業務拡大に伴い、臨床検査技師も採血をする施設が増えてきました。
採血した検体は温度や採取量などに注意して取り扱わなければなりません。
質のいい検体を得るには検体の取り扱いや検査に熟知した臨床検査技師が採取する事が重要です。
検体採取から検査まで臨床検査技師が行うことで信頼性の高い検査結果が得られることとなります。
大きく分けて上記のような仕事内容となります。
いずれも専門的な知識や技術が必要なプロフェッショナルな仕事です。
臨床検査技師に求められる能力やスキル
国家試験を突破すれば臨床検査技師にはなれますが、その他の能力も必要になってきます。
私がこんな能力やスキル持ってる人は有利だと思うものをを紹介していきたいと思います。
協調性のある人
最近、チーム医療が重要視されており、他の専門職の方と連携して医療を提供する事が必要になってきました。
チーム医療で円滑に連携するには他職種の方の意見を傾聴し、場をまとめ、積極的にコミュニケーションを取れる協調性が必要になってきます。
まさに、近年の臨床検査技師にとって必要不可欠な能力だと言えます。
常に成長する気持ちがある人
医学の世界は進化や発展を続けており、まさに日進月歩です。
臨床検査技師が扱う検査機器も日々新しい機械が開発されており、それを扱う臨床検査技師も新しい知識や技術が必要です。
そのため自ら知識や技術を得ようとする成長したいという気持ちや向上心が必要です。
積極的に講習会に参加したり先輩技師から教わったりなどの努力をいとわない気持ちが重要です。
臨機応変な対応が出来る人
施設によってはたくさんの検査を1人で処理することもあります。
また、経験のない様な症例に直面することもあります。
そのような時に冷静に対処する事が必要です。
医療現場ではそれぞれの専門職が責任も持ってその仕事を遂行しなければなりません。
何が起きても臨機応変に対応して最後まで責任を持って仕事ができる人が望まれます。
プロフェッショナルとして現場に出てからも成長する気持ち、協調性、臨機応変な対応力は必要です。
これらの能力は仕事してからでも磨くことはできるので積極的に挑戦してみてください。
臨床検査技師のキャリアパスや将来性について
臨床検査技師のキャリアパスは施設により大分内容が異なりますが、病院や検査センターなどではやはり検査技師長を目指すこととなります。
3年目くらいまでは新人研修、業務経験などを積みそれ以降は各専門知識を深めます。
2級試験、認定試験などを取得し、その後施設によっては主任登用試験など受け管理職となります。
そして人事管理、人材育成などを経て臨床検査技師長へと言ったところでしょうか。
いずれにしても狭き門なので出世を狙いたい人は先を見据えて動き始める事がポイントです。
臨床検査技師の将来性についてですが、現在検査の現場では検査機器の発展により検査の自動化が進み多くの人手が検査に必要とされなくなってきました。
しかし、エラーや異常値の判断、機械のメンテナンスなどは人間が行わなければなりません。
ただ、これらの仕事も今後、AIなどの発展に伴い変化が訪れると思われます。
したがってこれからの臨床検査技師に求められるものは機械に対応できない高い専門性です。
経験が物を言う異常値の最終的判断、細胞の鏡検、各種生理機能検査などです。
過去に比べ機械化のおかげて人手は減りましたがまだまだ臨床検査技師は現場で求められる仕事はたくさんあります。
医療の現場としては予防医学に注目が集まってきているので病気の早期発見に役立つ健康診断や人間ドッグなどの検査需要が高まってくるとおもいます。
そのようなフィールドでも臨床検査技師の活躍の機会はまだまだあると言えるでしょう。
臨床検査技師を取得するメリット
臨床検査技師は他の医療職同様に国家試験を合格しないとなる事はできません。
合格するのは大変ですが、臨床検査技師ならではのメリットはあります。
ここでは私が実際に感じた良かった点を紹介していきたいと思います。
技術的な専門性が高いところ
最初は難しいと思える検査も日々業務をこなしていくことで段々と技術が身についていくところは臨床検査技師のやりがいなのではないでしょうか。
検査も最初はこなしていく事で精一杯ですが知識がついてくると医師にアドバイスをして早期発見に繋がるなんてこともあります。
私も過去に心電図を取っていて非常に危険な検査結果となった時に、緊急報告をした事がありました。
その直後、患者の容体は急変したのですが事前に対応ができたので一命を取り止める事がありました。
その際は医師に感謝され、とてもやりがいを感じることができました。
責任はありますが命を救うことに貢献できた時はとても嬉しい気持ちになります。
活躍できる場所がたくさんある
臨床検査技師の働く場所は病院やクリニック以外にも検査センター、健診センター、製薬会社、医療関連機器会社、臨床検査技師の教育期間などたくさんあります。
施設ごとに同じ臨床検査技師でも業務内容は結構違ってきます。
私自身も中小病院→大学病院→健診センターと転職をしてきましが業務内容はそれぞれ施設で違っていました。
活躍できる出来る場所がたくさんあるということは自分に合う仕事ではなくても別の場所でも臨床検査技師として働くことができるということです。
臨床検査技師の資格を活かしながら長く仕事を続けられる事ができます。
単調作業なところ
色んな仕事内容がありますが基本的には毎日同じ事をします。
検査機器も自動化が進みどんどん人の手が掛からなくなってくるので検体を機械にひたすらかけ結果を出るまで待つことがほとんどです。
そのため肉体労働はほとんどありません。
最初は大量の検体に戸惑うかもしれませんが、慣れてくればどんどん効率的に仕事ができるので体力的にはすごく楽です。
臨床検査技師は専門性の高さを活かしひたすら技術を磨いたり別の場所でさらに研鑽したりする事ができます。
多少職人気質なところはありますが基本体力勝負ではありません。
臨床検査技師はこういった人におすすめ
次に臨床検査技師になった方がいい人はどんな人なのか。
実体験を含めながら紹介していきます。
多種多様な資格を取得したい人
現場に出た後も臨床検査技師は様々な認定資格を取得する事ができます。
例えば認定超音波検査士、緊急臨床検査検査士、2級臨床検査士などです。
これらの資格は臨床の場に出て様々な勉強や実技経験を積んだ後に取得できるものもあれば、国家資格を合格した後でもすぐに取得することができる資格もあります。
私自身も臨床検査技師2年目の時に緊急臨床検査士の資格を取得しました。
実技試験があるので先輩に指導してもらいながら練習はしましたが1回の挑戦で合格する事ができました。
これらの資格は講習会がたくさん開催されているので参加して勉強する事ができます。
資格取得に挑戦する事でモチベーションアップにも繋がり、転職の際にも有利になります。
幅広い業務ができる
臨床検査技師は色んな分野の仕事があります。
週ごとや月ごとにローテーションで担当するところあれば年単位で変わるところもあります。
なので各分野の異なった知識や技術を身につける事ができます。
色々な検査データを扱う上で幅広い知識は必要なので自ずと視野が広がってきます。
また、色んな仕事があるので同じ仕事ばかりしたくない人、飽きずに長く続けたい人にはオススメできるのではないでしょうか。
色んな場所で働ける
先ほども触れましたが臨床検査技師は働ける場所が色々あります。
仕事の内容は施設ごとに異なり、色んな経験を積む事ができます。
臨床検査技師として活躍できる場所がたくさんあるという事は転職しても同じ資格を活かし違う仕事ができるということです。
せっかく取った資格を活かしたい、色んな場所で経験を積みたい人にはオススメです。
専門性の高い職業なので資格を活かせば色んなことに挑戦できます。
どんどんスキルアップして色んなフィールドで働き経験を積みましょう。
まとめ
いかがでしたか?
臨床検査技師は何する職業なのかが分かりましたでしょうか。
検査のスペシャリストとして医療の現場では無くてはならない存在です。
私がここで紹介した他にもどんな仕事があるか気になったらぜひご自身でも調べてみていただいて、もっと臨床検査技師に理解がある人が増えてくれることを願います。
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