医療従事者の中でも臨床検査技師の仕事はあまり皆さんに馴染みがなくイメージが湧かないということをよくお聞きします。
仕事もつらくて給料も低い!なんて事も耳にします。
今回は臨床検査技師という職業に興味はあるけどやめとけばいいのかなと迷ってる方に私が臨床検査技師として9年間働いて感じたことをお伝えしていきたいと思います。
■臨床検査技師の仕事はやめとけと言われる理由
やめとけと言われる理由は様々あるとは思います。
人それぞれ経験してきた事で意見は別れると思いますが私が思う理由は以下の通りです。
医療従事者の中では給料が低い
臨床検査技師は病院で働く他の医療従事者に比べて給料が低い傾向があります。
夜勤やオンコールで手当がつく場合はありますが検査が無いと何も手当がつかないこともあります。
大きな責任に問われる
検体の取り違い、輸血検査の型間違えなどワンミスで取り返しのつかない医療ミスに発展してしまう事があります。
間違えた臨床検査技師1人のせいになる訳ではありませんが常にそのような細心の注意を払って仕事をしなければなりません。
就職先が少ない
現在日本において臨床検査技師は飽和状態にあるそうです。
その背景には臨床検査技師育成機関の増加、検査の機械化による人手不足の解消などがあります。
新卒で病院に就職しようと思ってもなかなか求人が出ないこともあります。
健診期間や検査会社などは間口を広く募集してるので就職はできるかもしれませんがなかなか希望通りのところに就職できないかもしれません。
一般的に言われていることをまとめてみました。
しかし、実際にはどうだったのか、以下でお伝えしたいと思います。
実際に働いてみて臨床検査技師の仕事をやめとけばよかったと思うこと
私は9年ほど臨床検査技師として働いてきまして。
その間、中小病院→大学病院→健診施設と働いてきました。各施設で感じたことをリアルにお伝えしたいと思います.
給料が低い
関東の病院に就職したのですが初任給は15万ほど。
昇給も年4、5000でしたのでずっと低いままでした。
基本的に定時で帰れたのですがその分残業が無く残業代はつきませんでした。
オンコール対応の病院だったのですが自分が当番の時はオンコールがない限り手当はつきませんでした。
手当はつかないのにオンコールで呼ばれたらいつでも行けるよう遠くに遊びには行けずお酒も飲めませんでしたので割に合っていなかったと思います。
昇給、昇格がしにくい
その施設の規模によりますが私の働いていたところは役職者は主任1人、技師長1人でした。
この2人が辞めるor昇格しない限り次のポストの席は空かず、ずっと平社員のままでした。そのせいで給料も上がりづらかったです。
検査室での仕事がほとんど
出勤してから退勤するまでずっと検査室に篭って仕事をしています。
仕事は各分野ごとに担当しているので自分の担当の仕事を黙々とこなしています。
人間関係によりますがあまり仕事中会話をする機会がなく、篭って仕事をするので気分が塞ぎ込みがちになります。
気分転換ができません。
実際の職場は人間関係や施設の規模で変わりますがこの様な傾向があると思います。
私は転職をして結果的に一番落ち着いたところで働けてますが、色んな施設があるので見極めてから働いた方がいいと思います。
臨床検査技師の仕事はやめた方がいい人は
色々お伝えしましたがそれでも臨床検査技師になりたいと思う人はいると思います。
しかし仕事には向き不向きが必ずあります。
私が感じた向いてないと思う人を紹介したいと思います。
コツコツと作業する事が苦手な人
臨床検査技師の仕事はPC上で検査結果を精査したり、一日中顕微鏡を覗いたりと黙々と同じ作業を繰り返すことが多々あります。
膨大な仕事量をコツコツと地道に作業する事が必要です。
そのような単調な作業が苦手な人には向いてないかもしれません。
責任感のある仕事ができない人
臨床検査技師の仕事はほとんどが患者の命や健康に直結しています。
一つのミスが患者の命や健康を脅かす重大な医療ミスにつながることもあります。
したがって一つ一つの仕事に責任を持って取り組まなければなりません。
自分の仕事に責任持ち、検査のプロとしての意識を持ちながら仕事をする事が重要です。
大きな責任を伴う仕事では荷が重いと言う人にはオススメできません。
女性とのコミュニケーションが苦手な人
これはやや主観的な意見が強いのですがやはり医療現場は女性の方が多く働いています。
近年、注目視されているチーム医療では、他職種の方々とも一緒に仕事をしなければなりません。
看護師や医療事務の方はやはり女性が多いのが現状です。
他にも健診センターなどで働く臨床検査技師はほとんどが女性でした。私自身は男性なのですが周りはいつも女性の方が多かったので女性の方とのコミュニケーションの取り方にはいつも気を遣っていました。
そのような気遣いをすることや女社会で生きていく事が苦痛に感じる方はやめておいた方がいいかもしれません。
女性の方とのコミュニケーションについては職場の人間関係によりけりなので一概には言えませんが、単調で責任感がある仕事が嫌な人には向いてないと思います。
臨床検査技師の仕事をして良かったこと
デメリットばかりの様に感じるかもしれませんが、次では私が実際に働いてみて感じた臨床検査技師になって良かったと思うところを経験を交えて紹介したいと思います。
患者と対面する機会が少ないところ
基本的に検査室での業務になるのでほとんど患者と触れ合う機会はありません。
生理機能検査や採血業務は例外ですがそれでも他の医療従事者に比べれば少ない方です。
生理機能検査だと患者と対面して直接検査を行うので多少の患者とのやりとりはありますが基本検査中は喋らないし、検査自体も数分から数十分で終わるので長時間コミニュケーションを取る機会はありません。
なのでコミュニケーションを取るのが苦手な人でも必要以上にコミュニケーションを取らなくても大丈夫です。
暇な時間があるところ
臨床検査技師の仕事は医師や看護師からオーダーされた検査をもとに行われます。
なので検査のオーダーが無ければ仕事量はさほどありません。
逆に検査のオーダーが立て込む時間、外来が忙しい午前中や連休明けは大量の検査オーダーがあるのでそれに比例して忙しさも増します。
それでもオーダー数が落ち着けば余裕も出てくるので他の仕事に取り組んだりします。
工場のライン仕事みたいに単調な仕事が一日中続くのではなく1日の中でメリハリがあるところもあるのでそういった環境で仕事をしたい人にはいいかもしれません。
体力的には楽なところ
検査機器も自動化が進みどんどん人の手が掛からなくなってきています。
検査室に届いた検体を機械にかけその後は結果をパソコン上で確認して結果を送り返します。座り仕事が多いため肉体労働はほとんどありません。
空調の効いた部屋で座りながら仕事をすることができる上に慣れてくればどんどん効率的に仕事ができるので体力的にはすごく楽です。
主観的な観点が多いですがどれも私が感じた他の職種には無い良かった点です。
どの仕事も専門性は高いですが慣れてくれば単調な作業が多いので効率的にこなす事ができると思います。
臨床検査技師の仕事はこんな方におすすめ
臨床検査技師になってメリットが全く無いわけではありません。
もちろん、得なこともあります。臨床検査技師ならではの魅力を紹介します。
多種多様な資格を取得できる
現場に出た後も臨床検査技師は様々な認定資格を取得する事ができます。
例えば認定超音波検査士、緊急臨床検査検査士、2級臨床検査士などです。私は臨床検査技師2年目の時に緊急臨床検査士の資格を取得しました。
取得の際は業務の合間を縫って勉強したり先輩に指導してもらったりと大変でしたが合格できた際は達成感とともに自身のスキルアップを実感する事ができました。
これらの資格取得に関する講習会も開催されているので積極的に参加して勉強することもできます。
様々な資格はスキルアップにも繋がるし転職の際に有利にもなりますので資格を取得して自分の財産にしたい人にはオススメです。
幅広い業務ができる
臨床検査技師は色んな分野の仕事があります。
ローテーションで担当を回すところあれば年単位などて長期的に担当変えするところももあります。
施設によりますが色んな分野の検査を担当するので各分野の異なった知識や技術を身につける事ができます。
幅広い知識を身につけることは視野も広がりますし検査ごとに経験値を積む事ができます。
色んな仕事があるので同じ仕事ばかりしたくない人、飽きずに長く続けたい人にはオススメできるのではないでしょうか。
色んな場所で働ける
臨床検査技師の働く場所は病院やクリニック以外にも検査センター、健診センター、製薬会社、医療関連機器会社、臨床検査技師の教育期間など様々あります。
私自身も中小病院→大学病院→健診センターと転職をしてきました。
同じ仕事内容で転職先があるという点は国家資格を持つ強みです。
せっかく取った資格を活かしたい、色んな場所で経験を積みたい人にはオススメです。
専門性の高さを活かして色々なことに挑戦できてその分活躍の場所も多種多様です。
国家資格を合格してからでも色んな働き方を選択する事ができます。
まとめ
いかがでしたか?
臨床検査技師はやめとけと言われる理由が分かったでしょうか。
ただ臨床検査技師のおかげで医療が成り立っているのも事実です。
人の命を助ける素晴らしい仕事ですのでこれを読んだ方は自分に適性があるかどうかしっかり見極めてから臨床検査技師を目指すことをオススメします。
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