私は19歳の時に調理師学校を卒業したあと、10年間、調理師として勤めていました。
当時の職場では従業員60人中、女性調理師は自分を含め、3人と少ない印象でした。
今から、20年程前の話ですが、 調理ジャンルは和食に始まり、洋食、中華、中食、多国籍も担う大きな飲食会社でした。
懐石料理を勉強したくて和食業態へ入りましたが、年齢は20代から60代と幅広い年齢層の面々が揃い、「男性」ばかりでした。業務は大量の食材運びや大量の仕込み、勤務時間外で季節の試作料理の打合せ。
季節の料理企画のプレゼンテーションも行っていました。
仕事中は男性ばかりなので、衝突すれば罵声や怒声は当然ありました。(※今はパワハラと言われてしまうと思います)
このような理由からか、女性の調理師は少なく、生業にするのにはタイムリミットがあるだろうとささやかれていました。
女性調理師が少ないのは本当?理由は?
経験談から申しますと、結論、女性調理師は少ないと思います。
理由は元々が「男性社会」であること、また圧倒的な「力仕事」だと考えられます。
- かなりの体力が必要
→業務内容がガテン系のため
- 時間外労働が多い
→事務作業や試作料理などは時間外でないとできないため
- 役職が少ない
→料理長以外はハッキリとしたポストがないため
- 欠勤の代替えがきかない
→担当部署があるため人手不足の時は特に困難
- 育休産休の理解への乏しさ
→男性スタッフが多い環境では顕著であるため
- 介護休暇など取りづらい
→予測しづらい休暇になるため
- 子育てママだと働きにくい
→子供の不測の事態に対応しにくいため
店舗の営業時間、定休日、ピーク時のお客様の回転率から考えると、お子様が小さいママさんや、ご家庭に何らかの事情が優先される場合、上記の項目への理解は厳しいと考えられます。時短がOKなどの理解が得られる場合は別ですが、大半は採用されにくいことが多いです。
女性調理師の強みと弱みとは?
調理ジャンルの違いを例に見ても「男性料理人」が多い印象です。但し、女性調理師となるとどうでしょうか?
女性調理師の強み
- 料理企画の際、創造性、斬新なもののアイデアが浮かびやすい。
→男性と比較すると女性のほうが圧倒的に引き出しが多いため
- 男性社会の中の紅一点のような存在になるため人間関係が円滑になる要素がある。
→男性同士では衝突しやすいことが起きた時に女性ならではの意見が入ると潤滑油になるため
- お客様とのコミュニケーション媒体になりやすい。
→女性調理師は珍しがられるのでお店などでは広告塔になりやすい。
- 外国語が話せると海外への仕事の幅が広がりやすい。
→外国人観光客のニーズの点からは高需要であり、昇給につながりやすい。
上記のどれにも当てはまる事ですが、女性ならではの性質上における、コミュニケーション能力の高さや多角的な物事の捉え方や受け止め方ができる点です。
デザート部門や季節のイベント料理企画(クリスマスやバレンタイン)は女性発案が優位です。
外国語については、例えば「女性すし職人」として海外へ進出した場合、和食ニーズの高い外国で活躍できる可能性は高いです。
女性調理師の弱み
- 体力勝負のため高齢になってからは困難。
→若年層と比較すると歴然であるため、おすすめできません。
- 体調不良時に周辺が男性ばかりだと相談しづらい。
→女性特有の体調不良(生理など)の共感が得られにくいため。
- 子育てママだと急な勤務変更がしづらい。
→業務の性質上、時間の融通が利かないため。
- セクハラはどこにでもある。
→ボディタッチのようなものはあります。
- 女性調理師のみの調理場は作りづらい。
→女性調理師のみの調理場は存在していません。理由としては、料理の味付けがぶれるときがあるためと考えられます。
女性は「生理」があり生理周期に入ると味覚が変化すると言われています。
例えば懐石料理など繊細な味付けを求められる場合、不利になるためです。
業務時間の構造上の点もあり時間の融通がききにくいため、比較的、独身者且つ若年層向きの仕事なのではないだろうかと思います。
体力や健康管理についても老いには抗えませんので、やはり限界点はありそうです。
女性調理師に必要なもの、準備しておいた方が良いものとは?
女性調理師に必要なもの、それは「コミュニケーション能力」と「体力」だと考えます。
経験上このどちらもかけては継続困難かと感じます。
- 体力
→力仕事なので必須です。
- コミュニケーション能力
→お客様に買っていただくため営業能力が求められるため、必須スキルです。
- 柔軟な発想力
→料理は科学ですが、五感でいただくものなので感性も必要です。様々な捉え方や受け止め方も必要なスキルです。
- 定期的に休む
→ヒトは思ったより弱いです。体力回復に時間を使いましょう。
お客様に喜んで頂ける料理を提供するには、人間関係を円滑にしたり、楽しく仕事をしたりする必要があると考えます。
それには健康な身体と体力が必要です。
体力の維持には睡眠、栄養、運動は欠かせません。
また定期的な健康診断を行い、自分の健康状態を常に把握すること。
疲れたら休むこと。身体は資本であり健康は資産です、これが私たちに豊かな幸せを教えてくれます。
そして「よく遊ぶこと」これが、柔軟な発想力や問題解決能力を生み出します。
まとめ
私が10年勤めた 調理師時代はもう20年前の話になりますが、今でも女性調理師は少ない印象です。
特に和食業界やお寿司ではほぼ見かけません。(※海外はわかりません)
調理ジャンル別でも女性の調理師は2人いるかいないかくらいです。
それくらい少ないです。
やはり理由は「体力勝負」ではないでしょうか?
「食」を介したコミュニケーションは企業や大事な商談を行うためによく使われるツールですし、人の心理に働きかける要素に大きく貢献していることは経済心理の研究でも広く知られています。
そのため、たくさんの人を幸せにすることができます。
私が調理学生のころ某有名ホテルのレストランシェフのお言葉でした。
人を幸せにするためのお料理を作る人たちには、いつも健康であり、幸せであってほしいと感じています。
そのために、正しい知識と自己管理が必要だと思います。
この発信が、微力ながらこれから「調理師」として頑張っていきたいと志す女性たちや調理師の方たちのお役に立てればと思います。
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