歯科衛生士と聞くと「歯科医院で先生の横にいる女性」「歯石取りをしてくれる人」というイメージを持つ方は多いと思います。
歯科衛生士は国家資格であり、歯科助手とは違い患者さんの口の中に触れられる職業です。
また、歯科医師が診療を効率的に行えるようにアシストを行うだけでなく、相手に合ったブラッシング指導やクリーニングをするなど幅広く活躍できる職業です。
しかし、実際のところ仕事はきついの?楽なの?という疑問もあるでしょう。
そこで歯科衛生士歴6年で、現在も歯科医院で勤務している私が、「歯科衛生士の仕事はきついのか?楽なのか?」を紹介していきます。
歯科衛生士の仕事はきついの?楽なの?
本題となりますが、これに対しての答えは「楽ではない」です。
歯科衛生士は医療職であり、人の健康に関わるなど責任を伴う仕事です。
そのため、「楽そうだから」という安易な考えの人には、向いていません。
私は医療系大学を卒業してから、歯科医院に就職し、歯科衛生士を続けるか辞めるか迷った時期もありましたが、現在も歯科衛生士として働いています。
では、歯科衛生士の仕事は何がきついのか、何か良くて働いているのか紹介していきます。
歯科衛生士の仕事がきついと思うところ
どんな仕事でも、きついところや楽なところはあります。
ここからは、歯科衛生士の仕事できついところを5つ紹介していきます。
自分に合うか、照らし合わせながら読み進めてみてください。
職場の人間関係で働きやすさが変わる
歯科医院の8割は女性の職場で、人間関係のトラブルで辞めていく人は多いです。
実際に、歯科衛生士の離職する理由の1位が「人間関係」という結果があります。
職場内の人間関係は、自分でコントロールできる範囲ではないので難しいですよね。
有給が取りづらい
少人数で医院を回している個人経営の歯科医院は、人手不足から有給が取りづらい面があります。
また、歯科医院によっては、有給希望は3ヶ月前に出さないといけない、祝日がある日は定休日に出勤しなければいけないなど、休みに関するルールを設けられているところもあります。
「こんなはずじゃなかった」と消耗しないように、自分はどのように働きたいのか、就職先を探すときは医院規定を確認することが必要です。
福利厚生にばらつきがある
歯科医院にもよるのですが、小規模の歯科医院だと、福利厚生が整っていない場合が多いです。
求人サイトを見ていると、福利厚生欄の記述が曖昧な書き方をしている歯科医院もあり、疑問に思った際は
必ず確認してみましょう。
勤務時間が長い
歯科医院によって、勤務時間の決め方は違います。
実際に勤務時間が8時間とされていても、片付けや昼休憩を含めると約11時間拘束されることなどあります。
また、見た目形式上は休憩時間が2時間とされていても、午前中の診療が長引いて休憩時間が少なくなるケースもあるなど、働き方改革は今後も進めていくことが必要だとされています。
勉強することが多い
医療は日々進化するため、常に勉強をすることが必要になってきます。
医院によっては院内勉強会や、休日に歯科セミナーに参加することを求められるところもあります。
勉強は大変なこともありますが、その分患者さんに与えられることも増えるので、前向きに取り組んでいきましょう。
歯科医院は予約患者さんだけでなく、急患や予約外の患者さんの対応もあり、基本的に忙しく、的確かつ柔軟に動くことが求められます。
メンテナンス中心の歯科衛生士でも、空き時間は先生の診療のアシストにつくなど、やることは多く体力はある程度必要です。
また、医院によっては服装規定もあり、私が働いている医院では髪の毛は7番か8番、髪は肩までの長さがあれば結ぶ、貴金属は結婚指輪のみ、ネイルは禁止、香水は禁止となっています。
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歯科衛生士の仕事が楽だと思うところ
次は、歯科衛生士の仕事で楽だと思うところを5つ紹介していきます。
先ほど紹介したようにきついところもありますが、良いところもあります。
歯科衛生士として働くとどんな良いことがあるか、読み進めてみてください。
就職先や再就職に困らない
全国には6~7万件の歯科医院があるとされ、コンビニエンスストアより多いと言われています。
2021年度の歯科衛生士の求人倍率は22.6倍とされ、多くの歯科医院が歯科衛生士を取り合っている現状です。
私自身も、福岡県で4年間勤務後、上京する際にすぐに転職先を見つけられたので、仕事には困らないという印象が強いです。
仕事と家庭の両立がしやすい
お子さんがいらっしゃる方でも、時短勤務で歯科衛生士を続けていらっしゃる方が多いです。
時給もスーパーのレジと比較すると、東京都では平均時給1700円~2000円と高めの設定になっています。
一度歯科衛生士を辞めて、ブランクが空いても復帰しやすいのが魅力でもあります。
安定した収入を得られる
厚生労働省の基本調査より、2017年の歯科衛生士の初任給は約20万3500円とされています。
日本の初任給の平均額は約19万円とされているため、歯科衛生士の初任給の方が少し高めであることがわかります。
都内であれば、もう少し高い金額でスタートすることもあり、安定した収入を得られることが強みですね。
人の健康を守れる
「口の中の健康」というと、侮られることが多いですが、人は口から食べることで元気に動くことができます。
寝たきりの高齢の方でも、口から食べるリハビリや噛める状態に整えることで、歩けるようになった症例があります。
こういった、口の中の健康を通して、全身の健康を取り戻すサポートできるのが歯科衛生士の仕事です。
将来性がある
高齢化問題により、歯科衛生士の需要は今後も高まるとされています。
高齢者の方に多い誤嚥性肺炎のリスクや、歯周病などは適切なクリーニングや口腔内ケアによって予防ができるため、今後も必要とされる職業でもあります。
歯科衛生士の最大の魅力は、安定した収入を得られるため、自立したい女性におすすめの職業であることです。
予測不可能で変化が激しい現代では、手に職をつけられるような資格を求めている人が多いです。
そういった「安定した暮らしをしたい人」「自立して生きたい人」に合った職業だと思います。
歯科衛生士の仕事をして良かったと思うところ
歯科衛生士は、患者さんと関わる機会の多い職業だからこそ得られることは多いです。
ここからは、私が歯科衛生士の仕事をして良かったことを3つ紹介していきます。
全国どこでも働けること
歯科衛生士の資格があれば、全国どこでも働けます。
私自身、歯科衛生士の資格があったことで福岡県で4年間勤務後、上京する際にすぐに転職先を見つけられました。
最近では歯科医院だけでなく、病院、施設、企業など幅広い選択肢が増えているため、ライフステージに合った働き方もできます。
患者さんの口の健康意識が上がったとき
一般の人は口の中のことは分からないことが多く、どのように歯を磨くか、歯周病とは何なのか曖昧に解釈されている方が多いです。
そのため、患者さんのライフスタイルに合った歯磨きの習慣、歯の磨き方、今の口の中の状況など説明していくと、納得して行動変容してくれます。
相手に合った必要な情報を与えることで、患者さんが生活習慣を変えて、健康的になった姿が見れた時はとても良かったと思えます。
患者さんから感謝されたとき
最近では歯科医院の定期検診の概念が「予防歯科」という、虫歯や歯周病予防のために定期的に口の中を整えるという考え方に変わっています。
クリーニングをして、「気持ち良くなった」と感謝されることや、ブラッシング指導をして歯周病が改善した時に感謝をされた時、やりがいに繋がります。
私は歯科衛生士として6年働いているのですが、経験を重ねていくと患者さんから感謝をされたり、自分の力が発揮できる機会も多くなりました。
新人の頃は失敗が多かったのですが、それも全て糧となり今の自分があります。
「続けることに意味がある」という言葉を信じて、今後も働いていきたいと思っています。
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歯科衛生士として働いていると、長く続いている人と、続かない人の傾向がわかります。
では、どんな人には歯科衛生士が向いていないのでしょうか?
コミュニケーションが苦手な人
歯科衛生士と聞くと、歯のクリーニングが中心の職業というイメージを持つ人が多いと思います。
しかし実際は、患者さんや歯科医師、スタッフとの、関わりが深いコミュニケーションが必要になってきます。
コミュニケーションが苦手な人は、歯科衛生士として働いていくと「自分にこの仕事は向いていない」と感じる可能性があります。
柔軟に対応できない人
歯科医院には日々、さまざまな症状に悩む患者さんが訪れ、現場の状況に応じて周りを見ながら動くことが求められます。
患者さんにあった対応や、状況に合わせて臨機応変に動くには、柔軟な考え方が必要になってきます。
自分の歯科衛生士の仕事だけでなく、周りの状況を見えないと診療が効率的に進まなくなります。
集中力がない人
歯科衛生士の仕事は、細かい作業が多いため集中力が必要です。
集中力がないと、誤って患者さんの口の中を傷つけてしまうなど、医療事故に繋がる恐れがあります。
集中することが苦手な人は歯科衛生士に向いてない人となります。
今の段階で、「自分には歯科衛生士は向いていないかも」と思うことはあるかもしれません。
しかし、経験を積むことで色んな患者さんに対しても、柔軟に対応できるようになってきます。
大切なのは、「どんな歯科衛生士になりたいか」目標を持つこと、理想と現在の状態との差を確認しながら毎日を過ごすことです。
そうすることで、少しずつ自分の目標とする歯科衛生士像に近づくことができます。
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次にどんな人が歯科衛生士に向いているのか紹介します。
自分の性格や考え方と比べてみてください。
コミュニケーションが取れる人
歯科衛生士は、コミュニケーションが取れる人ほど仕事が上手く進みやすいです。
患者さんだけでなく、同僚の歯科衛生士、歯科医師、歯科助手、受付などと適切にコミュニケーションをとることで医院全体が効率よく回っていきます。
歯科衛生士は単独でなく、チームで仕事をする機会が多いため、円滑なコミュニケーションが取れることは必要です。
勉強したり、人に教えることが好きな人
医療の進歩に合わせて勉強が必要であるため、勉強が好きな人が向いているとされています。
スキルアップのため認定衛生士を目指したり、勉強会で得た知識を日々の診療に役立てるなど、向上心がある人や目標を立てて頑張れる人などにもおすすめです。
細かい作業が好きな人
歯科衛生士の仕事は、歯石取りのクリーニングや歯科医師の診療補助など細かい作業をすることが多いです。
せまい口腔内で細かい作業をしなくてはならないため、手先が器用で、細かい作業が好きな人が向いている職業ともされます。
最初は仕事が出来ないのが当たり前なので、そこを心配する必要はありません。
それでも、周りと上手くコミュニケーションを取れる人や、目標がある人が長く続いています。
自分が働いていて「歯科衛生士の仕事が好きかどうか」「歯科衛生士の仕事は人を幸せにしている」と感じられるかが、向いていると感じる要因になります。
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【歯科衛生士に向いている人・向いていない人】
まとめ
歯科衛生士の6年の経験から、「歯科衛生士の仕事はきついのか?楽なのか?」と聞かれれば、答えは「きつい」でした。
毎日忙しく、臨機応変に動くことが求められます。
しかし、きついと感じることがあっても、自分が歯科衛生士として人に役立つことを考えていくと、やりがいが見えてきます。
また、スキルアップのため勉強することで色んなことが学べるため、人の役に立つ仕事をしたい人にとってはおすすめの仕事になると思います。
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